女教師

その女教師に初めてあったのは
戦争が終わって 十年程経った
昭和三十一年春
小さな島の学校だった

私は 戦争犠牲者よと 言った
長崎の原爆にあったのでもなく
佐世保の 大空襲で
けがをした訳でもなかった

十八の時 恋人が
招集礼状がきたからと
挙手の礼をして別れたまま
戦死の広報がこないと言う
こうやって 本を読んでいると
向こうの方から靴音が近づいて
今 帰ったよ と
笑顔を見せるような気がする

そう言った 女教師は
その時 三十を超えていた

それから 二十年余年
平戸の小さな小学校の
分校で出会った
一人暮らしの
おばさんだった

それからまた
三十余年が経ち
今年の春
九十歳ぐらいになって
佐世保で 一人暮らしをしていると

風の便りに聞いた

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