火との契約


原人が火と共生するようになってから、およそ、20万年の歳月が流れている。狩猟採集の生活から、農業、牧畜の生活に移行してから、わずか1万年そこそこの時間経過と考えられていることからすれば、とんでもない時間の長さである。火は、扱い方が悪ければあらゆる物を焼き尽くす。おまけに、手に入れる事がむずかしい。手に入れたら、いつでも使える様に保存しなければならない。其の為に、火をあやつる道具を開発し改良を加え続けた。食べ物を加熱する事で、消化を良くし、病原菌を殺し、食べ物の種類を増やし、体の筋肉や大脳を発達させ、姿も原人から、ホモサピエンスとしての現世人へと進化を遂げた。火を使って天敵である猛獣に立ち向い、大型の動物を追いつめ、くらしを豊かなものとする事が出来た。しかし、火は気まぐれに住まいを焼き尽くし、時には、見渡す限りの山野を焼き尽くす事がある。また、火種を切らすと寒さから暖をとって夜を明かす事も、明かりをつけて夜道を歩く事も料理をする事も出来ず、死活問題であった。この問題を解決する為に人は、近くに集まって暮らし、家の中央に炉を作って、火を保存し、火種が無くなった時は、無償で融通する事。どこかの家が火事になったら、集落全員で力を合わせ、これも、無償で消す、と言う不文律を作った。これにより、集落は発展し、人は、互いに相手を思いやり、助け合う精神が発達した。これが火との契約であり、人道主義の原点である。人道主義は、相手を生かし、そして、自分も生きる。と 言う事につきる。自分の都合のいいように言って他人をだまい、自分の腹だけを肥やす行為が嫌われるのは、人道に反する行為だからである。






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