手負いの大物


狩りの仕方にもいろいろあって、その辺りで取れる、小物一匹では腹を満たす事はできない。大物が取れれば多くの人の胃袋をそれなりの期間満たす事が出来る。その誘惑にかられて、人々は大物狩りの旅に出かける。勇敢な種族としての誇りとリスクが混在する。
出猟の前夜は、安全祈願と大猟祈願を兼ねた儀式が、盛大なかがり火のまわりで執り行われる。トランス状態になった者まで現れる。 
出発の朝は、松明の明かりを頼りに、暗いうちから黙々と歩き続ける。灼熱の太陽の下でも、寒風すさぶ雪原でも、黙々と獲物の足痕を追う。不意にライオンや虎、ヒョウに襲われることもある。それでもヒトは、チーム力を生かして対抗し、手傷を負わせる。手傷を負った天敵は、ヒトの獲物となって敗走する。手負いの野獣をヒトはどこまでも汗を流しながら追走する。これらの獲物を集落に持ち帰ってこそ、真の勇敢なる戦士と言えるからだ。もう少し、と言う所まで来たが、日が暮れた、と 言う時もある。
そんな時は野営するしかない。獲物を横取りされない距離と、背後から天敵に襲われない場所、そこにかがり火を焚いて一夜を明かす。火が消えてお先真っ暗にならぬように、交代で見張りをする。キャンプファイヤーのはしりである。いざとなったら、みんなが松明を持って一斉に行動する。こうして、手負いの大物は、ヒトの獲物となる。
この時の松明(たいまつ)と、かがり火は、数万年の時を経てオリンピックの聖火リレーと、オリンピックの期間中燃やし続ける聖火となった。こうして始めて盛大な催し物が見られるのである。






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