故郷の山河


人は誰でも生まれ育った土地に特別な思いがある。両親がいて、兄弟がいて、親族に見守られながら、山野を駆け巡り、季節の移り変わりとともに狩猟採集の対象も移り変わって行く。山の果実の在処、川や海での魚の取れる場所、狩猟対象となる動物や天敵の習性、それぞれへの対処法、を教えてくれた家族、親類、友人、知人、これらが、どろどろに渦巻いた所が故郷だ。忘れようにも忘れる事は出来ない。見覚えのある道端の大きな岩でさえ懐かしさを感じる。その故郷の範囲は、自分の家から、朝早く狩りに出て夕方暗くならないうちに帰り着く位の範囲である。移動はもっぱら自分の足に頼る、馬や象に乗って移動したり、自動車や列車、飛行機に乗って移動出来るようになったのは、はるか、数万年の時間が必用だったのである。
その故郷は、豊かな大平原であった所も有り、痩せた山岳地帯であった所もある。魚介類の豊かな大きな入り江の平原であっても、100万年の時が流れれば5000メートルの高原となり、熱帯雨林の大平原も、高圧帯に移動し、乾いた空気が下降して砂漠となる。そこに住む生物にとっても、ヒトにとっても幸運であったり、不運であったりする。
不運の時は、食べ物がなくなり、水が不足し、火さえ消えてしまう事がある。こんな時、そこに暮らす人々は、星や月、太陽を拝み、力を合わせて生き抜く努力をした。
幸運に恵まれて、大型の獲物が捕れたときは、集落が全員集まり、たらふく食い、かがり火を夜どうし炊いて、歌い踊り、将来を語ったのである。これらがすべて故郷だ。
第二第三の故郷等知るよしもなかった。






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